生まれ変わった英会話 上達
Leakにはいろいろな種類がある。
Leakをした人物がなぜ重要な情報を漏らすのか、その意図の面から考えると、次のようなことになるだろう。
純粋な取材努力に取材対象が応えた場合。
しかし純粋にこの動機だけでLeakされることは少ないだろう。
政治的意図を持つ場合。
N大統領自身が北ベトナムに米国の意図を知らせるために大規模作戦を考慮、中であることをLeakしたのはそのいい例だ。
圏内では議会対策のひとつとしてよく使われる。
観測気球(ballondessai,trialballoon)として流す場合。
Leakの結果、事態が好都合に運べば名乗りでて、失敗すれば否定したり、Leakした構想自体を流してしまうことができるという利点がある。
正義感からLeakする場合。
前項に取りあげたベトナム秘密文書のE博士のケースはこれに近いだろう。
政策的意図をもってLeakする場合。
こちらは官僚同士の争いや、イデオロギー上の違いから、一定の政策や方針を打ちださせたり、それを取り消させるために行う。
1989年5月、USTR(USTradeRepresentative米国通商代表部)事務所は、日本、ブラジル、インドを「スーパー301条」(1974年通商法301条で外国の貿易協定違反や不公正な慣行に対して報復措置を取る権限が大統領に与えられ、1988年包括貿易法でこの条項が強化・拡大されたので、こう呼ばれる)の「不公正貿易慣行国」に指定した。
B政権のこの重要決定の前、在日アメリカ大使館は国務省に対し、米国が日本を「不公正慣行国」に指定すれば、日本国内に感情的反発がでる恐れがあるという趣旨の電報を送った。
しかし、この「部外秘」電報の内容がN紙に報じられてしまう。
記事には次のような箇所があった。
この電報は在日米大使館が貿易・経済問題について、日本に対し十分に強硬な態度をとっていないと考えたある政府当局者からN紙が入手したものである。
米国にはこういうLeakが多く、友好国といえども、いつとばっちりがくるかわからない。
たかがathirdrateburglary(三流の忍び込み)ではないか、とN・ホワイトハウスの報道官がいい捨てた1972年6月の民主党全国委員会本部への侵入事件が、のちにウォーターゲート事件として全米を揺るがし、ついにはN大統領を米国史上初めて、大統領として辞任に追い込むことになったのはあまりにも有名だ。
そして、この事件が日に日に大きくなっていく過程で、ワシントン・P車氏のB、C両記者が次々に打ちだしたスクープは、米国のメディア史に残る業績になるものだった。
単に出来ごとを追いかけるのではなく、重要な問題をねばり強く追求して報道するinvestigativereporting(調査報道)とかinvestigativereporters(調査報道記者)という言葉が広く一般に知られるようになったのは、この事件の後のことだ。
ふたりの活躍ぶりは共著のAllthePresidentsMenに詳しいし映画(邦題は「大統領の陰謀」)にもなったので、もう20年以上も前のウォーターゲート事件だが、事件のいきさつやN大統領の辞任の背景を知っている人は多いと思う。
事件にかかわって有罪の判決を受けた多くの人が刑期を終えたり、あるいは亡くなったりして、過去のものとなりつつあるものの、事件の全容が明らかになっているとはいいがたい。
たとえばジャーナリズムの分野でいうなら、ふたりの記者が特ダネを取る上で有力な情報源となったDeepThroat(ディープ・スロート)とはいったいだれだったか。
その身元捜しは今でも続いている。
RとLはSilentCoup(静かなクーデター)という本のなかで、それは事件のころホワイトハウスの安全保障会議事務局にいて、のちN大統領の首席補佐官となったA将軍以外にないと断言している。
また事件当時、ふたりの記者とWで同僚だったRは、雑誌Aの1992年5月号で、FBI(米国連邦捜査局)を強い指導力で率いてきたE長官が死亡した後、FBIでの指導権を握ろうとしたN政権の動きに対抗してFBI側(主にその高官たち)が示したさまざまな抵抗のひとつとして、そのころ捜査が進められていたウォーターゲート事件の真相をふたりの記者に漏らしたのではないか、よくいわれるように、もし情報源がN政権の高官だったら、W記者の本に書かれているように、午前2時にひとけのないガレージでこっそり会うようなことをしただろうか、と述べている。
DeepThroatというのは、そのころ5平判をとったポルノ映画の題だ。
映画の内容を書くのはここでははばかられるが、ちょっと不思議なストーリーの映画であるから、謎めいた情報源を指す名前としてはふさわしいのかもしれない。
ともかく、W記者はこのDeepThroatに会いたい時には、自分のアパートのバルコニーに植木鉢を置き、DeepThroatがW記者に会いたい場合には、W記者のアパートに配達された朝刊にメッセージを書いて、深夜の駐車場で密会していたのだ。
こうしたいきさつから、DeepThroatは「身元を明かせない重要なニュース源」という意味で使われることもある。
それはまだDeepThroatと大文字で始まる言葉で使われている。
そのうち小文字ばかりになって普通名詞化することもあるかもしれない。
報道する者にとって、このようなすごい情報源があることは心強いかぎりだが、そんなのは極めてまれなことである。
みな必死にsources(情報源、筋)を開拓し、確保しようと懸命になる。
アメリカのあるジャーナリズムの教科書に、Thesourceisthereporterslifeblood(情報源は記者の命を支える血液だ)と書かれていた。
まさにその通りである。
しかし、ニュース原稿を書く時、ニュース源となった人が、その肩書、地位のいかんを問わず、等しくただのsourcesとしか書かれていないのでは、そのニュースの信憲性がどれだけあるかわからない。
そこで、thehighestauthoritativesource(最も権威ある筋)authoritativesources(権威筋)highlyplacedsources(高い地位にある筋)reliablesources(信頼できる筋)といった表現が使われる。
一番上の表現は、米国では大統領を指す時にしか使われない。
「権威筋」もそれに近い地位の人、補佐官とか閣僚の場合にあたる。
こういう表現で報道すると、記者は信頼できない情報源からえた情報でも「信頼できる筋」からの情報と書いているのではないか、と批判されることがある。
しかしそれはメディアにとって自殺行為となる。
ウォーターゲート事件の報道でW紙が、ある情報のはっきりした根拠がえられない時には、その情報を2カ所で確認して紙面化する、という基本方針をとったのは有名な話だ。
とはいえ、「なになに筋」というのは米国でも最近ではかなり手あかがついた表現だとされるようになったようで、 「捜査に近い筋」 「身元を明らかにしないよう求めた政府当局者」などといった表現がよく目につくようになっている。
1972年といえば四半世紀以上も前のことになる。
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